数日経ってからレオ君扮した骸さんがまた訪ねてきてくれた。私の部屋は兄さんの部屋のうちの1つらしく、お世話係でもなかなか来れないそうだ。私に骸さんは兄さんが入江正一、と言う人に抜き打ちコールと称する連絡をした頃からもう脱出すべきと判断したようだ。骸さんが私に1丁の銃を渡した。スタームルガーMki、シルバーの綺麗なものだった。それから日本までの旅費やパスポートにチケット、小箱と最低限のものを貰った。小箱は、匣というらしく、今マフィア間で戦う際の主力とも言えるらしい。……沢田さんから、預かっていたそうだ。

それからいつの間にか兄さんにつけられてた右手のリングはどうやら私専用のものであり、覚悟する事で炎が灯るそうだ。平和な日常を、と願いをこめるとオレンジ色の炎が輝いた。


「……これが、私の覚悟」

「その銃はあくまでもしもの時の護身用です。空港でゴミ箱にでも捨てて下さい」


このビルからの脱出にはステルスリング、という気配などを消すリングを使うらしい。ためしに人差し指にはめて少し力を込めるとリングが消えた、………凄いなコレ。一般人の私にとって無縁だったものばかり。リングをジッと見ていると骸さんが言いにくそうに今日、逃走を決行すると言った。急すぎる…でも、骸さんも今日辞めるそうだから、一緒に途中まで着いてきてくれると言ってくれた。


* * *



「それではステルスリングを使って下さい……大丈夫ですね。僕は辞める旨を白蘭に伝えるので先に空港に行っていて下さい」

「もしも、ですが……時間に来なかったら?」

「…………先に行きなさい。それからメモに書いてある所に行くようにして下さい」



そっと扉を開け、いつも兄さんが仕事やくつろぐ部屋を通り廊下に出る。白や黒の服を着た人が何人か通ったけど、私には気付かない。エレベーターではリスクが高すぎるので非常階段を使うようにと私に勧めてから骸さんはまた部屋へと戻った。…私も長い階段を下り始めた。




―――階段を下っていく彼女を見送らず、すぐに白蘭の部屋に戻った。幻術を使って真白が居るように見せかける。するとポカンとした表情の彼女が写る――ようになった。さあ、隠された白蘭の能力を見極めるショーの始まりのようだ。



「お帰りなさいませ白蘭様、お食事いかがでしたか?」



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