…………まただ。すごく身体が重い。なんて言うんだろ…、筋肉痛のような感じ。下腹部と全身の倦怠感。たまに起こるタイムラグ。不可解な事が立て続けに起こりすぎていて、なにがなんだか分からなかった。
「―――大丈夫ですか」
ふとベッドから顔を上げると見知らぬ人。兄さんの「幻騎士だよ」という言葉だけを聞いて私は眠りについた。
「……大丈夫なのですか白蘭様」
「平気だよー。僕は大切な妹を危険な事に巻き込まないよ?」
「それではなぜこのような…?」
そこから幻騎士の言葉は途切れた。主のにんまりとした笑い顔に圧倒されたのだ。
「僕は欲張りなんだ。傍に置くなら強くなきゃね♪」
一瞬の迷いが幻騎士に現れた。これでよかったのか。でももう戻れない。小さな姫の事を思い出し、彼は白い悪魔に頭を下げた。
そう、剣を捧げたのは目の前にいる、白蘭様だ。そう言い聞かせて。
「…そろそろ、でしょうね…。真白を逃がさなくては……………」
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