イタリアの高層ビルの最上階、白い男は外を眺めていた。考えているのは愛しい女の事だけ。


「白蘭様、報告します」


白蘭様と呼ばれた男の傍らには報告をする青年が1人。レオナルド・リッピ、否ここは六道骸と告げておこう。骸は心の中では悪態をつきながらも状況を告げる。入江正一に花を届けろと言われ、この白すぎる男はなんなのでしょうかと思いながらも了解をすると白蘭はレオナルドに向けていた瞳を窓の外へと動かした。心なしか、狂気が混じる紫。


「あー…レオ君、ついでに内密に頼みがあるんだ」

「!なんでしょうか…」

「ちょっとここじゃあねー…君のパソコンに内容を転送しといたから読んでおいてね」

「りょ、了解しました!」


レオナルドは自室に戻る途中にアネモネの花を注文しながら先程の白蘭の言葉を考えていた。初めて会う自分に内密の任務を与える程、愚かなボスではないはずだと思っていた。なのに、なぜ?パソコンのスイッチを入れ手を組みながら推測する。メールが1件、宛名は無い。白蘭からの任務内容に目を通すとさっきまでの疑問はすぐになくなった。初めてここに来た人間の方が、都合よかったのだ。

「もう彼女を……っ、」


思わず自分の声が無機質な白い部屋に響いた。添付ファイルの2枚の写真には同じ女性が写っていた。


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