あれから何日か経った。――と言うよりも、何日経ったのかすら分からなかった。起きると、身体のダルさが半端なく、起き上がることすらままならない程だった。ポンと頭に隣にいた兄さんの手が触れ、壊れ物を扱うかのようにそっと撫でる。


「疲れているでしょ?無理しちゃだーめ!」

「……どう、して…こんなに…疲れが…」

「フフ…どうしてだろーねぇ?」


なにか裏のある笑みだった。腕が腰に周り私は兄さんの胸の中に閉じ込められる形になった。


「真白、真白、真白……もう何処にも行っちゃダメだよ?僕の傍にずーっと居なきゃだよ…真白…僕の可愛い妹…」

「兄…さん…?」


急に弱い口調の兄さんに戸惑った。急に…どうしたんだろう?そう思ってたけど、瞼がだんだんと重くなる。


「お…に、……ちゃ、ん」


意識は闇の中に落ちた。だから私は知らない。兄さんが私を抱き締めながら一粒の涙を流した事を―――。


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