白蘭は彼らの会話を聞きながらどのように追い詰めていこうか模索していた。向こうには奪い返さなければならないものが2つある。真白とユニ、どちらも不可欠だ。全ては真白の為であるから。


「いいですか?沢田綱吉…絶対に大空のアルコバレーノ、ユニを白蘭に渡してはいけない」

「黙って♪」


その瞬間に白蘭の腕が骸の胸を貫通した。有幻覚だからとはいえ、自分の意識はそこにあるから痛いのは当然である。ぐっ、と美しい顔を歪めさせた。クロームがツナの隣で悲痛な叫び声をあげた。幻覚が少しずつ解ける。


「…さあ早く転送システムに炎を」

「わ…わかった…クローム!み…みんな!!」


リングを持つ者が一斉に指輪に炎を点した。転送システムが作動しボンゴレファミリーを並盛へと運ぶべくその場から姿を消した。追うように上を見つめる白蘭と骸。


「うまく逃がしたつもりだろうけど意味ないな骸クン。綱吉クン達の寿命はほんのちょっと伸びただけだよ」

「僕はボンゴレファミリーを助けたかったわけじゃありませんよ」

「ん?」

「大空のアルコバレーノと真白があなたの手に渡らなければ充分です」

その分かってるような口ぶりが気に入らないのか白蘭の笑みがすっと消えた。余裕の無さを表しているようで骸にとってはいい景色であった。


「まっいいや。ユニちゃんと真白はどんな手を使っても手に入れるから。君の嫌いなマフィアらしいやり方でね」


不敵な笑みを浮かべて力を出すと一瞬にして骸は消えた。バイバイ、と呟く。真6弔花が慌てて白蘭の元に駆け寄った。

「申し訳ありません!我々がついていながらユニ様と真白様を…」

「いや…あの娘にはしてやられたよね。まさか真白の暗示も解けちゃうし」


ふむ、と右手を顎の下に持っていき考える。…まあ、いい。僕から逃げられるわけないじゃないか。



***


「や…やった!並盛に…転送できたぞ!」

「ツナさん…」


真白は木に引っ掛かったツナを見て哀れそうに目をつぶった。思った通り直ぐツナは地面とこんにちは、獄寺が慌てて駆け寄った。


「そうだ!基地ユニットの中のみんなは!?」

「……、どうやら無事みたい」


ホッと息をつくも、まだ油断はできない。白蘭がユニや真白を簡単に諦めるとは思えないからだ。そう思った矢先、獄寺が壊したと思われた転送装置が消えた。あっ、と思っているうちにまた戻ってきて並盛の上空を閃光が翔けた。


「四方に何か散ったぜ!」

「来たーーーー!!!」


慌てるツナとは逆に冷静に自分の学校の方に落ちたから見てくると言う恭弥さん、それに着いていく草壁さん、ディーノさん。…階段を駆け落ちなければ、かっこよかったんだけどな…。とりあえず私たちは今後の対策を練るためにも一旦ボンゴレアジトに戻ることになった。




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