ぐたりと肢体を投げ出し、シーツ1枚だけ身体に纏ってぼんやりとこれからの事を考えた。兄さんは白いスラックだけを履きまたマシュマロをもぐもぐ。嗚呼まだ好きなんだ…マシマロ。


ふと目だけ動かすとベッドの目の前にあるテーブルに1台のノートパソコン。身を起こそうとするけど、ジリジリとした痛みが身体を走り動かせなかった。


「あ、動かなくていいよ?ご飯は持ってこさせるからさ」


上着を羽織ながら私を気遣う兄さん。…やめて、そんな優しい気持ちを、私に向けないで。赦してしまうから。書類に目を通しながらパソコンをカタカタ打つ、……一人前にミルフィオーレのボスをこなしているようだ。


「不機嫌そうだね…久しぶり、正チャン」


急に画面に向けて話しかける兄さん、そっと画面が見える位置まで這うとメガネをかけた若い男の人が映っていた。(日本人かな…?)


「………とうとう…始まりました」

「うん、でもあんまり幸先よくないみたいだね」


なんだ、仕事の連絡か…。ゴロンと横になる。あの兄さんが、たくさんの部下を従えるマフィアのボス、か…。笑えないよねぇと考えていると急に怒鳴り声がパソコンからとんできた。ビクッと身体を起こす、兄さんはニコニコしてるだけ。しょうちゃん、煩いよ…。


「もめるだろーけどバレたんならブラックスペル側にも話す用意しとかなきゃね」

「!!どう説明するんですか?」


メガネの男の人がびっくりした表情で問いかける。兄さんはただ、「予定通りに過去からの贈り物が届いたってね」と訳アリ顔で言った。


「73(トゥリニセッテ)ポリシー…?」


嫌な、予感がした。いつの間にか中指にはめられていた指輪がキラリと光った。



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