そう言われた途端に意識がなくなるのを感じた。まるで誰かに体を明け渡すような、そんな感じ…。ふわふわとした中に溶けるように私は、否私の意識は沈んだ。




* * *



ファントム、という言葉に反応して真白の纏う空気が変わった。殺気がボンゴレ側に向けられる。綱吉が真白の顔を覗きこむと、瞳は冷たく、感情すら映ってなかった。


「ど、どういうことなんだ…!?」

「フフッ、君たちだって聞いた事がある筈だよ。白い悪魔、ファントムって言われている暗殺者…」

「まさか…私にしたように、真白さんを操っていたのですか…?!」

「そんな事言わないでくれるかい?んーそうだね…ひらたく言えば、第2人格とでも言おうか」

「第2人格…?」


白蘭はにっこり微笑んだ。


「つまりね?僕と真白の愛し合いを真白は拒絶した。それを無かった事にしようと真白は無感情の自分を生み出したんだよ」

「そうか…その状態の時に暗殺方法をインプットさせたんだな」

「流石アルコバレーノ……そう、元々真白の身体能力は良いからね。ミルフィオーレの技術で戦闘知識をインプットさえしちゃえば後は僕の思い通り♪」


スッと前に出て真白の前に立つ白蘭。真白の細い腕が首を回り密着し、顔が近くなる。その光景に中学生たちは思わず顔を赤らめた。深くなる口づけ、真白はボンゴレ側に一切振り向かず、目の前の男、に集中する。


「フフッ♪これで分かったかな?」

「真白が強いことはじゅーぶん分かった。…だがな真白の思いはお前になんか負けねーんだ」


その言葉を聞いて一瞬無表情になるも、ゆっくり微笑みを作り直した。―――目は、冷たいまま。

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