幻騎士の身体から雲属性の炎を纏う葉っぱが出てきた。みるみると全身を覆い尽くすと花が、桔梗の花が咲いた。苦しそうに悶える幻騎士をただ見ている事しかできない武さん。慌てて側に寄ろうとした途端、言葉通りに幻騎士が飛び散った。そんな光景を、画面越しとはいえ見てしまった…。吐き気が込み上げてくる。
「おいおいバーロー、白蘭様の妹様は吐きそうなのか？」
「ププッ、弱っ！ブルーベルと比べらんないくらいにぃ」
「……だ、まれ」
そっと肩を抱く兄さんの手を払い退け、ふらふらと立ち上がった。キッと前を見据えると笑うブルーベルが目に入った。なんでだろう…。
今ならヒトを殺せるかもしれない。
「………ま……さぃ…」
「なーにー聞こえないよー？」
「黙りなさい！」
自分の体が自分のものじゃないような感覚に陥った。辺りを一瞬で殺気が覆う、思わずブルーベルを含め３人は身構えた。ある者は恐れ、ある者は驚き、またある者は………喜んだ。ふっと真白が消えて、いつの間にかブルーベルの細い首を片手で掴んでいた。
「あ…ぅぐっ…や、め…て…」
「………」
「お、おい妹様よぉ、落ち着きやがれって…」
目の紫色は爛々と光り、肉食動物を思わせるようだった。ぺろり、と舌なめずりをする姿にゴクリと喉がなった。
「そこまでだよ、可哀想な真白」
白蘭がそう言うと、真白は手の力を弱めブルーベルを解放し、そのまま意識を失った。
「大丈夫かいブルーベル。真白にはちょっとした暗示がかかってるから抑えられるけど、あんまり挑発しない方がいいよ〜」
もっと早くに言って欲しかった。ブルーベルは膨れた。
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