「お母様、それでそのカレンと陛下はどうなったの?」 「さすがのカレンも皇帝勅命には逆らえないからね…仕方なしに騎士になったのよ。そうしてお互いに恋が芽生えた」 「じゃあカレンのお母様の思う壷になったんだね!」 「なんでそんな言葉知ってるのかな…しかも使う用途間違ってるような合ってるような…」 複雑な表情で皇后は一人息子を撫でた。金髪と青い瞳は彼譲り、透き通るような白い肌と笑った時のえくぼはあたし譲り。 「…あれ、ピオニーってお父様と同じ名前だね」 「ふふっ…不思議ね…。さぁ、もう寝る時間よ」 「うん!お休みなさいお母様!」 ぎゅっと我が子を抱きしめキスしてからカレンは子供の寝室をあとにした。自分の部屋に入るとガウンゆゆったりときた夫が書類から目をあげた。 「おっ、やっと寝たか?」 「話をしてあげたからもう寝てるでしょ」 「何の話だ?」 「あたしたちの馴れ初め」 「……はははっ…子供に話すことかソレ…!」 ピオニーは頭を抱えながらベッドに座った。笑いながら彼の隣に腰掛ける。 「もう、あの時から10年は経つのね…」 「もしあの時に暗殺者たちが来なかったらお前に目もくれなかったかもな」 「…ふーん、そう思ってたのか怠惰野郎」 「うっ、嘘だよ嘘!!!結構一目惚れだったんだあああ」 顔を真っ青にさせたピオニーを見て思わず笑った。たしかにあの時あんな風にならなかったら、あたしは目立たないようにして彼女らに負けるつもりだった。だから、ある意味奴らには感謝なのだ。幸せを噛み締めながらカレンは夫のピオニーからのキスを受け入れた。 0322 |