刻まれた悲叫



「カルディア…」
「…んー?」
「重 い ん だ け ど」

私はカルディアと住みはじめたばかりのアパートの寝室のベッドにいた。…なぜか隣のベッドに居たはずのカルディアが同じベッドに、しかものしかかるようにして抱き着いてきてる。……冗談じゃない、あんなでっかい図体がのしかかってきたら息が苦しすぎるのである。一生懸命押し返しても、むしろ更に力強く抱きしめてきて悪循環になった。

「……苦しい」
「じゃあ今度からは一緒のベッドな」
「やだよ狭いし」
「俺のこの寂しい気持ちは何処にやったらいいんだよ!」

なに急に淋しがり屋になってんだろうか…。暑苦しさにため息をついたが、嫌ではなかった。二百数十年を越えてまた再会できたのだ、これ以上の幸福はない。だからカレンは強く拒否はできなかった。

「もう…仕方ないなあ」
「カレン…!」

もう一度ギュッと抱き着いてきたカルディアを抱きしめ返しながら苦笑を浮かべた。なんだか子供みたい…。

幸せだから気付かなかった。否見ないフリをしていた。生死に関わる彼らがカルディアを見逃すわけないことを。