工事中の心臓


シオンはまさか青銅と被るとは思わず目を見開いた。1番に気を取り戻した紫龍が言葉を発する

「な、なぜ教皇が俺たちの友人をご存知で…?」
「友人だと?こいつは前聖戦で共に戦った蠍座スコーピオンのカルディアよ」
「なんですと!だが前聖戦の聖闘士は老師と教皇を除き…」

シュラの言葉にシオンは頷く。シオンは小宇宙で五老峰にいる童虎に聖域に来いやとだけ伝え、反論しようとする童虎からの小宇宙を遮断した。つまり、言い逃げ。

「どういうことだ…」
「あれ、シオンなんでまだ若いんだ?てか教皇の服とか似合わないな」

ハハハ!と豪快に笑うカルディアに教皇に向かいなんて口の聞き方なんだと数名が顔を青白くさせた。

「(…)…その話は後ほどしよう…」
「なあカルディア!なんで今まで話してくれなかったんだよ!」
「ん?ワリィな星矢、さっき思い出したんだよ」
「ですから急に小宇宙が膨れたのですね」

今まで黙っていた沙織が言葉を発した。今生のアテナの前にカルディアが歩み寄りまじまじと顔を見つめた。

「おっ、今回のアテナはあいつよりも気丈でお転婆そうだな」
「ニケで刺しますよ」
「ハハッ!流石戦女神だな」

豪快に笑いどっこいしょとシオンが座るべき椅子へと腰を下ろした。それに正義感の強いアイオリアは黙ってはいなかった。

「貴様!例え前聖戦の黄金とはいえ教皇に対して無礼だぞ!」
「あ"?っせーなぁ筋肉猫め」
「猫ではない獅子だ!!」
「…」

筋肉は言い返さないのか、とデスマスクは呆れた。くだらない言い争いにシオンのいい加減にしろ小僧共とちゃぶ台返しが決まった。アフロディーテたちは見なかったふりを決め込んだ。

「ちょっとシオン五月蝿いっ!裏方にまで喚き声が聞こえて女官たちが驚いてるじゃない!」

女官の服装のわりに横柄な態度で会議室に入った女を見て倒れていたカルディアは柄にもなく目を見開いた。

「…カレン?」
「えっ、………う、そ…カルディアなの…?」

身体を全身の筋肉を使って跳ね起き傍に近付く。紛れも無い、彼女は前聖戦で天蠍宮で共に過ごした白銀聖闘士、そしてカルディアの恋人であったカレンだった。



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