欠如した情緒


カルディアは自宅から見える空にまた現れた太陽を睨みつけた。…一体なんだったんだ?日蝕なんて聞いてねェよ。それに何週間か前の大雨洪水とか…ほんと謎だ。それに星矢たちも居なくて暇だし…そういや沙織とかいうグラード財団の少女も同じ時期に居なかったな…。とにかく暇だ。身体は鈍ってるし楽しいこともねェ。


***



「つっまんねー…」

あの日蝕から1週間経ったが星矢たちからの連絡もなく窓辺からベッドに移動し寝転がる。心なしか頭が痛い。ってー…つーか頭痛、最近多くないか?自分に問い掛けるがそれは黄金色の知らない記憶が一瞬駆けるだけであり頭痛は治まらない。今日は特に酷くこめかみからズキズキと痛む。


キィイン―――――――




「う、わぁああぁあ!!」

カルディアの頭は急に流れる膨大な自分であり自分でない記憶に押し潰されそうになった。溢れる力――小宇宙。鋭い瞳は真夜中の夜空へと向かう。見つめるのは真紅のアンタレス。

「なァんだ…俺、また生まれたのか」

にぃと笑みを浮かべ心臓のある左胸をそっと撫でた。カルディアは、前聖戦で蠍座を守護する黄金聖闘士だった。



0901