小説 | ナノ





「エルヴィンお疲れ様。まだ仕事終わらないの?」
「ああ。今日は終わりそうにないな。」
「そっか。忙しそうだね。」


自分の仕事を終えた後、私はいつもの様にエルヴィンの部屋を訪ねていた。
エルヴィンのことを好きになってしまったのは、もういつの話だろう。私は自分がまだ分隊長になるずっと前から、彼のことが好きだった。
エルヴィンの頭の中はいつでも人類を守ることでいっぱいで、私のことなんてこれっぽっちも見ていないことは知っていた。
でも分隊長になった頃、ずっと心に閉じ込め続けてきた抑えきれない想いを彼に打ち明けた。その頃から、こうやってエルヴィンの部屋に通うことが私の習慣になっていた。


「ナマエおいで。」


優しく名前を呼ばれ手招きされるがままに近づくと、力強いその腕に抱き寄せられる。想いを伝えた頃からエルヴィンは私を抱くようになった。そこに愛が無いことなんて私は初めから知っている。


「仕事は良いの?」
「ナマエも来たことだし、少し休憩だな。」


エルヴィンはそう言うと、自分の唇を私の唇に押し付けた。僅かに開いた唇の隙間から彼の舌が侵入し、いとも簡単に私の舌は絡め取られてしまう。

「…んっ……ふ…」

何度も何度も角度を変えて繰り返される激しいキスに、酸素を求める事さえもできずに頭がぼーっとしてくる。立っているのがやっとな私はエルヴィンの背中に手をまわし、彼のジャケットを握り締めた。

暫くそうした後、私を解放した彼は耳元でゆっくりと囁いた。


「ナマエ。愛しているよ。」


その言葉に胸の奥の方が甘く疼く。
嘘だと分かっていてもその言葉はいつも私を酔わせるんだ。


「私も愛してる。エルヴィン。」


私のジャケットは簡単に取り払われ、今度はエルヴィンの大きな手が私のシャツのボタンを1つずつ外した。
どこまで行っても愚かで不毛な私の恋心。何度この関係を断ち切ろうとしても、彼の唇や指、紡がれる言葉がそれを許してはくれなかった。
それどころか、もっと名前を呼んで欲しいもっと触れられたいと思う、以前よりもエルヴィンから離れられなくなっている自分が居る。

私の首筋に顔を埋めている彼の首に両腕をまわして私は言った。


「ねぇエルヴィン、もう1回愛してるって言って?」
「ああ。愛してるよナマエ。」


脳内に響く低くて優しいエルヴィンの声。きっと今、私は恍惚の表情を浮かべているだろう。
例えその言葉が偽りや虚飾でも、きっとこの先も私は何度も貴方に酔いしれる。







幾年にも亘る貴方への陶酔

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -