小説 | ナノ



*性描写に注意






会議を終えた後、廊下を歩いていると、前方に愛しい恋人の背中が見える。
彼女の姿を見かけるだけでもうれしくなって、エルヴィンはつい頬が緩むのを感じながら彼女の名前を呼んだ。
「ナマエ。」
「エルヴィン団長っ…!」
振り向いた彼女はうれしそうに微笑んで、自分の方に駆け寄ってくる。
とても愛おしい。

「どうされましたか?」
「いや、特に用事はないんだが君の姿が見えたからね。用事がないと呼び止めたらいけないかい?」
ナマエが困って慌てるのを承知でそう言うと、彼女は困ったような表情で案の定慌てた。
「い、いいえ!そんなことは…!」
「分かってるよ。」
自分の期待通りに動く彼女が微笑ましくて小さく笑うと、彼女はからかったんですね、と顔を赤くして抗議した。
本当に愛おしい。だがそれと同時に、彼女は自分を苦しませる。

「お仕事はもう終わりですか?」
「ああ。先程の会議の議事録をまとめたら終わりだ。」
「そうですか…。お疲れ様です。」
私にだけ見せるナマエの甘い微笑みが好きでたまらない。
愛おしさが溢れ出てきて自分も表情が緩むのが分かる。


「ああ。……だから消灯後は私の部屋においで。」
今日は2人きりで過ごす時間がある。
私は耳元で囁いてこっそり彼女を誘うと彼女はうれしそうに微笑んだ。





「んっ…、」
消灯後、約束通り自室に来た愛しいナマエを抱き寄せてキスをする。

彼女への愛はまるで首に絡まるロープのようだ。
キスをする度に、彼女への愛おしさが募り、ロープがきつく締まっていく。
彼女を愛することは幸せな気持ちなはずなのに、息苦しさも感じてしまう。

息苦しさの原因は、自分の中にある葛藤だともエルヴィンは既に気づいていた。
部下である以上、ナマエの命もいずれは冷酷に切り捨てなければならない。けれど、冷酷になりきれないのだ。
ナマエと愛を紡いでいくうちに、彼女を死なせたくないと思うようになった。
自分が死ぬよりも彼女が自分の目の前から消えてしまうことの方が怖いと感じるようになってしまった。

もはやナマエは自分よりも大切な存在になってしまったのだ。
ナマエを愛さなければ良かった、と何度思ったことか。
それでも彼女の笑顔を見ると、わきあがってくる"愛"という感情を抑えきれない。


何度か角度を変えて唇を重ね、舌を絡ませるキスをすると、とろけた彼女の表情が私を誘う。
「ふっ…ん、」
「ナマエ、愛しているよ。」
エルヴィンは自分にとって唯一の美しい後悔を言葉にして囁いて微笑む。
ベッドを軋ませて、壊れ物を扱うかのように優しく彼女を押し倒して首筋にキスをした。
丁寧に彼女が身に纏っている服を脱がせながら、ちゅ、ちゅっと音を立てながら彼女の身体中にキスをする。
露になった胸に触れて、円を描くように胸の突起を弄りながら優しく捏ねるように乳房を揉む。
「あっ…んっ、ああっ!」
かわいらしい声を上げて反応してくれるナマエがかわいい。
もう片方の胸に吸いついて舌でかわいがると、敏感なそこは芯を持って硬くなる。
舌先を尖らせて先端をぐりぐりと弄ると彼女の身体はうれしそうに跳ねた。

「んっ、あ、ああっ…エルヴィンさん…。」
紅潮した顔でナマエに見つめられて名前を呼ばれれば、自分の下半身が反応するのが分かった。
朱に染まった顔、乱された呼吸、涙で潤んだ瞳、全てが私を誘っている。
彼女が愛おしくてたまらない。今更手放すことなんてできるはずがない。


頬にキスをして片手を下腹部に伸ばして服を脱がせると下着の上からナマエの割れ目をくにゅと押した。
わずかに湿り気がある。
「んあっ!あっ!」
優しく擦ってやればそこは更に湿り気を帯びる。
目を細めて生理的な涙をぽろぽろと零すナマエが愛しくて再び唇を重ねて、舌で唇を舐めて口を開けさせて彼女の舌を捕らえる。
「ふっ…ん、う…」
くちゅくちゅと音を立てれば、彼女の切ない吐息が漏れた。
同時に下着を指に引っ掛けて下ろして脱がせて床へと落とし、外気に晒された彼女の大切な場所に直接触れる。
内股を撫でてそこに垂れている蜜をすくって指に絡ませてクレバスを開いて、くちゅりと音を立てて中に入り込ませた。

中に入れると、粘液が絡んだ私の指をきゅううっと強く締め付ける。
もう1本指を入れて中を慣らすために広げるようにして方向をバラバラにして2本の指を動かした。
すると、分泌される粘液がくちゅくちゅと淫らな音を立てる。
奥へと指を進めれば、ぎゅうと強く締め上げられた。

「もう随分濡れているね。期待していたのかい?」
「やだ、言わないでっ…、エルヴィンさんのいじわるっ…!」
耳元で甘く囁けばナマエは涙目でこちらを見つめてくる。かわいい。
「君は煽るのが本当に上手だ。」
「っああ!」
口角をあげて彼女の弱い部分を突けば、雄を欲しがって奥をヒクつかせた。
そろそろ良さそうだ、と判断した彼が指を引き抜けば入り口はひくついてとろりと蜜が糸を引く。


そして身に纏っていた服を全て脱ぐと、熱く猛った自身を彼女の蜜の滴るそこへ押し当てた。
「ナマエ、入れるよ…。」
「う、んっ…エルヴィンさん…きて…。」
涙の浮かんだ瞳で彼を求めてくる彼女の様子が彼の劣情を刺激する。
エルヴィンは何度か自身を蜜の溢れている場所に擦り付けてから一気に奥まで自身を挿入した。

びくびくと身体を震わせて甘い吐息をもらしながら全てを受け入れるナマエ。
全てが埋められると、彼女の熱を持った中はエルヴィンのものを象るように蜜を絡ませて吸いついてくる。
ゆるゆると腰を動かしてストロークさせれば彼女の甘い声がもれた。
「あっ、ひっ…あっ、ああっ…!」
「…ナマエっ、」

彼女を心から愛している。
自分よりも大切な存在だと言いきれるくらいに。
そして彼女を愛してしまったことが、自分よりも大切な存在を作ってしまったことが、唯一の後悔の種だ。

「エルヴィンさんっ…!」
行為に溺れながら彼女の名前を呼べば、私の名前を呼んで求めてくれる彼女が愛おしい。
伸ばされる手を掴んで指を絡めてぎゅっと握るとシーツの波に埋もれさせた。


「愛している、ナマエ。」
「ぁっ…ああっ!私も、エルヴィンさんが好きっ…愛してる…!」
ふわりと優しく微笑めば、彼女に甘い瞳で見つめられ、唇が重なる。
ちゅ、と音を立てながら何度も何度も唇が触れ合った。
更にナマエから愛を与えられる度に彼女が愛おしくなってより深く舌を絡める。
唇を離せば2人の間を糸が繋ぐ。
その糸が切れてナマエの胸元に落ちると私はそれを舐めとって首筋に1つキスマークを残した。

「ん、あっ、あっ…あん!あっ、ああっ!」
少し腰を引いて引き抜くかと思えば、また一気に奥まで自身を挿入して何度も突き上げて彼女の身体を揺さぶる。
「あんっ、あっ…奥まで…ああっ…、」
いやらしい水音と自分と彼女の身体がぶつかりあう音が部屋に響いた。
肌と肌が触れ合い、身体は更に熱を帯びる。2人の汗が空気に散っていく。


愚かしく浅ましく美しい世界の中で、ナマエは私にとっての唯一の希望だ。
彼女が兵士である以上、部下である以上は切り捨てなければならない。
だが…私が生きていく上で、彼女を決して失いたくない。彼女を死なせたくない。
エルヴィンの中で葛藤が渦巻いた。

しかし彼女にはそんなそぶりを見せることなく、彼は優雅に微笑んでみせる。
せめて彼女と愛の交歓をしている間は、1人の男として浸っていたい。
そうしてまた結論を先延ばしにして行為に溺れていくのだ。


「かわいいよ、ナマエ。」
「ん、はっ…、あああっ…!あっ、ああっ…!」
額にはりついた髪を払って、頬を撫でてキスをした。
そのキスは一瞬で、唇を離すと一旦腰をひいて、また彼女の奥へと入れるように突き上げる。
出し入れする度に蜜の絡む音が結合部から響いた。
甘い熱を共有して、繋がっている部分から2人は1つに溶け合う。

「あっ、ああっ!エルヴィンさんっ…!んっ…ああ、っあ、あああっ―――!」
「ナマエ…っ、」
互いに名前を呼び合って求め合って、絶頂を迎える。
彼女の中が収縮してエルヴィンのものを象るように締め付け、同時に彼も欲を放った。


せめて1人の男である瞬間は、自分にとって唯一の希望である愛しい女を腕に抱いていたい。
「心から君を愛しているよ、ナマエ。」
息を乱す彼女を優しく抱きしめながらキスをすると、エルヴィンは囁いた。




愚かしく浅ましく美しい

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