私が白石姓になって早くも半年が経つ。
蔵ノ介とは昔からの幼なじみと言うもので、蔵ノ介の隣には私、私の隣には蔵ノ介。
別段付き合う訳でもなくそんな関係が高校2年まで続いて3年の春に蔵ノ介に告白され、大学生になり、卒業と同時にプロポーズを受け結婚と言う流れで今に至る。
そしてこの過程を経ているのは私だけではない。

「にゃー…」

珍しく休みな蔵ノ介にじゃれついている猫はエクスタちゃん(蔵ノ介命名)で、私達が付き合い始めた頃に友人から譲り受けた真っ白な雌猫だ。
当時はまだ子猫で可愛かったのだけど、大きくなるにつれて私に懐かなくなった。
それどころか見せつけるようにゴロゴロと甘えるような声を出して蔵ノ介に摺り寄る。
ほんと氷帝の元部長さんがキャーキャー言う女の子を雌猫どもって言いたくなるのが分かる気がする。

猫に嫉妬する私も大人気ないと思うが、こうも毎日されると正直腹立たしい。
夜の営みの最中にもベッドに登って来たときは尻尾を握ってやったさ。

「はいはい、どないしたんエクスタちゃん?」

くそう、デレデレしやがって…お前の奥さんをほったらかして猫とじゃれつくなんて、今日の晩ご飯キャットフードにしたるからな!

「そうかそうか…俺の大事なお嫁さんが構ってくれへんから俺んとこ来るんやな?」

チラッとこっちを見ながらクスクス笑う蔵ノ介。
違うし、向こうが懐いてくれへんのやし!

「ふん、蔵ノ介なんか知らへん!」

「えらいご機嫌斜めやんか?昨日あんなに俺が休み聞いて抱きついて来たくせに…」

「それとこれとは違うの!」

「エクスタちゃーん、お嫁さんがこわーい」

ソファに座り後ろからエクスタちゃんを抱きかかえその両手を持ちぶらぶらと振っている。

何をしても顔が良ければ可愛くも見えるし格好良くも見えるなんて不平等この上ない。

「あー、エクスタちゃんと1日身体交換したい」

そう言いながら床にごろんと寝転がり落ちていた毛布に丸まるといつの間にかエクスタちゃんを床に置き蔵ノ介が私の名前を呼びながら後ろから抱きついてきた。

「猫と1日身体交換したらさ、こんなこと出来へんよ」

スルスルと服の裾から手を差し込み肌をなぞりながら耳元で囁く蔵ノ介にゾクリとする。

「俺はお嫁さんより大切なもんはないよ…勿論子供が出来てもな?」

ふと横を見るとこちらを一瞥し興味無さそうに「にゃあ」と一声無いてリビングから出て行こうとするエクスタちゃんにそっと舌を出してやった。





猫に嫉妬する



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family様に提出

遅くなり申し訳ありませんでした。
猫ちゃんを飼ってないのでどんな風に表現しようか迷いました(笑)