粉雪とただいま
なしろちゃんへ相互記念




『今日で白石くんと付き合い始めて3年目なのに何にも連絡ないんだ…。どう思う幸村くん?』


今年で白石くんと付き合い始めて3度目のクリスマス。
ちなみに私達が付き合い始めたのもクリスマスだったりする。
でも私の隣には白石くんは居ない、俗に言う「遠距離恋愛」と言うもので、今は同じ芸大に通う幸村くんに愚痴を聞いてもらっている最中です…。


「どう思うって言われてもな。じゃあなしろから連絡したら良いじゃないか。」


『そうなんだけど…。白石くん医学生で忙しいと思うから私が連絡したら迷惑かなって。』


そう言うと明らかに顔をしかめ大袈裟なぐらいの溜め息をつく幸村くん。
…明らかに日に日に私への対応が酷くなっている気がする。


「それ明らかさっき言ってたことと矛盾しているよ。じゃあなんでなしろは白石と付き合っているんだい?」


『…え?それは、高校の時に遡るんだけど。』


そう、白石くんと初めて喋ったのは高校3年生の夏休み。
私は高校2年のときに転校してきたんだけどなかなか校風に馴染めずそのまま進級して、その鬱憤を晴らすかのように絵を描いてばかりいた。

中でも動いている人を描くのに熱中しテニスをしている彼らを描くことは日課になってて、その日もコート際の大きな木の下で絵を描こうかとスケッチブックを広げていると、木漏れ日を遮るように影が1つ差した。


「自分いつもここで絵描いとるやんな?」


まさか喋りかけられるとは思ってなかったので振り向くとそこには学年1モテモテで理想の王子様とまで謳われる白石蔵ノ介くんがいた。


『え、いや、あの…ごめんなさい!』


「いや、何で謝るん?おもろいやっちゃなぁ。」


思わず頭を下げ謝った私にクスクスと笑いながら私の頭に手を置いて撫でる白石くん。
そんな出会いきっかけに私は白石くんに気に入られたみたいでよく話すようになり、その年のクリスマスに告白されて付き合うことになった。

クリスマスを過ぎるというか3年生にもなると受験シーズンなんだけど、白石くんは地元の医科大学の推薦をもらいそこに進学するみたいで、私はまだ「絵が描きたい」と言う想いから芸大に進むと言うことしか決めておらず、やっと行きたいと思える大学が見つかったと思ったらその学校は東京で…。
せっかく付き合い始めたばかりなのに離れるのは嫌だとずっと悩んでいた。
でもやっぱり背中を押してくれたのは白石くんで、「自分のやりたいことをしたらいい」と東京行きを進めてくれて、今こうして充実した日々を送れている。

幸村くんは白石くんの知り合いらしくて、仲良くなったと電話越しに言うと素っ頓狂な声を出して驚いたのを今でも覚えていたり。
あの時の白石くんの驚き方最高だったよ!


『…とまぁこんな具合なんだけど。』


「はっきり言って最後の説明一番いらなくない?そんなとこだけビックリマークで強調とか意味分かんないから。」


『うっ…。さすがに凹みますよ幸村くん。』


だってあの時のさ、慌て具合とか幸村くんに迫られてないかと焦りながら言う白石くん可愛かったんだもん。


「あ、ごめん電話だ。ちょっと待ってて。」


ブルブルとテーブルの上に置いてあった幸村くんの携帯が震えだし、一言残して店の外へと消えていく幸村くん。

テーブルに身体を伏せてファミレスの窓から外を見ると、店の外はちらちらと雪が舞い始め、幸せそうなカップルがちらほらと見られる。
東京へ来たことは後悔してないけど、偶に大阪で白石くんと一緒に居れたらもっと幸せを感じられるのかとも思ってしまう。

はぁ…、と溜め息をついていると向かいの席がガタリと揺れ、幸村くんが帰ってきたのかと目を向けるとそこには白石くんが…って白石くん?


『ん、あれ?幸村くん…は?』


「なんや、俺や無くてそんなに幸村くんがええんか?」


いや、これは夢だ、幸村くんがまた意地悪な悪戯をする夢なんだ。


『…いひゃい。』


「ははっ、そら自分のほっぺたそんな抓ったら痛いに決まっとるやん。相変わらずおもろいなぁなしろは。」


すりすりと自分で抓っていた頬を優しく撫でながら笑みを浮かべる白石くんに思わず涙が出てきた。


『…なんでっ、なんにも連絡くれなかったのっ?』


「なしろ驚かそう思て。幸村くんにはちゃんと話伝えてたんやで?」


『ばかばかばかっ、白石くんのばか!』


「…大阪人は馬鹿言われる方がグサッとくるんやけど。」


私の頬に添えられた、あの時よりも幾分か逞しくなった手をギュッと握りしめボロボロと涙を零す私を困ったように白石くんは微笑みながらコツンとおでこをくっつける。


『白石くん、白石くんしらいしくんっ!』


「そんな呼ばんでもちゃんとここに居るてなしろ…」


甘い雰囲気になってきた頃、ここがファミレスだということを忘れていた私達は周りの視線に気付いて慌てて外へ出た。


『白石くん、ホワイトクリスマスだ!』


「ほんまや、…初雪やろか?」


『うん、そうだと思う。』


「あ、今日はなしろの家泊まらせてもらってもええか?」


『もちろんだよ!…ねぇ白石くん、』


「なんやなしろ?」


『雪が綺麗ですね?』


「それを言うんやったら、月が綺麗ですね…、やろ?」





この後砂糖を吐いちゃうんじゃないかっていうぐらいのベタ甘な台詞、そして指輪ともにプロポーズされたのはまた別の話…。




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遅くなってごめんなさいなしろちゃん!
私のリクエストがきっかけでなしろちゃんとお喋りするようになり、相互リンクやTwitter、メールまでしてもらって…。
いつもお世話になっています^▽^
私にとってなしろちゃんは本当のお姉さんみたいです(//^O^//)
これからも不束者ですが仲良くしてくれたら嬉しいな!

またいつか一緒に大阪の街をぶらぶらしたいです(^ω^)
相互リンクありがとうございました!

title:水葬さまより



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