私の彼氏である幸村精市は中学3年生のはずだ。それをわざわざ確認しておかないといけない状況に、私は困惑している。



「本当なの、蓮二?」
「ああ…」
「嘘じゃないよね?」
「受け入れがたいだろうが…これは事実だ」



私は目の前の小さな少年に複雑な思いを抱かざるを得ない。なぜなら、この愛くるしく寝息を立てる少年こそ私の彼氏・幸村精市には間違いないが、見た目は幼稚園児にしか見えないからだ。

蓮二が言うにはこれが『幼児化』というものらしい。彼曰く、青学の乾くんと共同で開発していたドリンクと、精市が飲んでいた薬が化学反応を起こし、ドリンクを飲むなり体が縮んでしまったとのこと。

だから、この目の前の小さな精市は、見た目は子ども・頭脳は中学3年生ということになる。絶対にあり得ない漫画だと思っていたのに、いざ、目の当たりにすると私は自分の思考が停止してしまうのがわかった。



「どうすれば、元に戻るのよ!?」
「理屈上は体内から成分が排出されれば戻るが…こんなことになるとは思っていなかったために確証はない…」
「はあ!?」
「2人とも静かにしないと、幸村部長起きちゃいますよー?」



赤也が諭すように言う声で赤也が諭すように言う声で私達の喧嘩のトーンは下がる。それにしても、体調が万全じゃない精市が普通にしてても心配なのに。蓮二に詰め寄りたくなる私の気持ちも察して欲しい。


「んー…うるさいなあ…」


私達の話し声に目を覚ましたのか、精市が幾分か高めの声で伸びをしながら起きた。私はぎょっとして、小さくなった彼に近寄る。



「せ、精市…?」
「名前…?どうしたの?」
「体調どう?どこも異常はない?」
「あたりまえだろ?ちょっと体は縮んで、びっくりしてるけど」



いつものにこやかなスマイルが健在であることに私達はほっとした。それも束の間、精市はそんな私達を放っておいて、口を前に付き出して笑う。



「名前、おはようのキスしてよ」
「は?」
「俺、体も小さくなったからちょっと甘えたになったみたいでさ。ねえ、ほら」
「え、ちょっと…!?」



私が焦っている間に、甘えた精市に唇付けられた。
あれ?でも、なんか変だ。次第に精市の顔が、というより世界がやけに歪んで…。



「いつまで寝てるのかな?」
「うわ!ああ…せ、精市?…あれ?幼児化は?」
「ふふ、寝ぼけてるの?」



瞳を開くと、目の前には匂いも暖かさもわかる世界が広がる。なんだ、夢か。やっぱり。
どうやら部室でそのまま眠っていたらしい。既に辺りは暗くなり始めていて、時計を見ると、もう6時になりそうな時間だった。だいたい幼児化とか、おかしいと思ったんだ。急に起きたことと、やけにリアルだった甘えたな精市に弾む心臓を抑えていると、精市が私の顔を覗き込む。



「どんな夢見てたの?」
「うーん…精市が幼児化する夢…」
「あはは。あ、そう言えば、寝言言ってたみたいだったけど?」
「寝言?」



精市の影と私の影が重なる。



「『おはようのキス』がどうとかね?」



そう言って笑う精市は、夢でも現実でも、はたまた子どもでも大人でも関係なく、甘いキスを私にくれるんだ。






*\Elegy なしろさん/*

なしろ姉さんからいただきました!
無理矢理なリクエストにも関わらず素晴らしいちっちゃい精市くんが見れて満足です(//^O^//)
じつは随分前にいただいてたんですけど、なかなかサイトに載せれなくて…ごめんねなしろ姉さん(´;ω;`)
これからもこんな妹ですが仲良くしていただけたら嬉しいです( ´▽`)
なしろ姉さん大好きー!!



sweet sweet sweet!




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