▼ 残念イケメン会〜残念な婿にもいろいろあるわけで〜
side:残念婿
あてどない道だった。
その道は細く、暗く 先には一点の光すらない。
ただ暗い闇だけが覆う、細く狭い廊下を真人は歩いている。
ここはどこだ?一体何が起こってる?
ぼーいずらぶ小説にあるまじきこの冒頭……フツーの大学生設定には荷が重いだろ……っ!
意味のわからないロケーションを自分に課した創造主の思惑に真人は舌打ちをした。
チッ、と口腔から音が漏れた瞬間だった。
辺りは光に包まれる。
闇に慣れ始めていた目を凝らして見えたのは、ただ白い壁と同じ色をしたドアだった。
「……ここに入れ、って言うのか……?」
なにか空恐ろしいものを感じながらも、真人は白いドアに手を伸ばした。
光の先には何がある?
何が……
高鳴っていく心臓が指先の感覚と重なって、ひとつになる。
真人はドアを押し開けた。
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