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「そうなんだ……」


私はミリアムとアルバートさんが出会ったときの話、一度お別れした話、そしてまた一緒に暮らしはじめて、晴れて恋人同士になった話を聞いた。


「大変だったのね、ミリアム」
「でも、アルバートさんと一緒だったから全然大変じゃなかったです!」


ミリアムはまた汚れのない笑みを浮かべた。かわいい。

しかし、拾われた、ね。


「ヒトシさんも私のこと誘拐したんだから、似たようなもんよね……だから私と付き合ってくれても……」
「ヒトシさん?それって、ヒメさんの恋人、ですか?」


私の独り言に、ミリアムは律儀に答える。
そう聞かれると、困る。


「……予定、なの!」
「恋人予定?なんだかそれ、不思議です!」


私は純粋すぎるミリアムに苦笑しつつ、もう一度ミリアムを見た。

ミリアムが彼と付き合えたのだったら私だって……だって、私だってヒトシさんと13年一緒にいるわけだし。

ミリアムが羨ましい、と思った。

13年経ってるのに、私に触れようともしないヒトシさんと、さっき優しくミリアムに触れたアルバートさん。

私だって。私だって。


「……ミリアム。あなた、今までどんな風にアルバートさんと接してきたの?」
「え?」
「ていうか、どんなときに彼になでなでしてもらえるの?」
「なでなで……?あ、頭、ですか?」
「私だって──ヒトシさんになでなでされたい!!」


思わず大きな声が出て、店中の視線を集めてしまって恥ずかしかった。



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