▼
無邪気なリンは笑って、「はい」とカズマの方に振り返る。
そんなリンの手をカズマは引いた。
「……っカズマ先輩……?」
掴まれた手の力の強さにリンは目を丸くしている。
……ほんとうは優しくしてやりたい、と思っていたのだが、そんな余裕はなかった。
強く引いて、自分の方に引き寄せる。
後ろでまとめた髪を掴んで、上向かせると、唇を奪うように重ねた。
「……っカズマ、先輩……」
「制服を着たお前にはもう会えないんだ、って思ったら……止まらなかった。……嫌か?」
鼻と唇の隙間で囁くと、リンは睫毛の先を震わせた。
可愛いリン、強いリン。
でも、弱って怯えているリンも俺は欲しい。
「そんな……こんなところで……わたし……っ誰かに、見られたら……」
「……見たい奴には見せてやればいい。俺は、今 ここにいるお前が欲しい」
prev / next
(11/30)