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辺りが茜色に染まる夕刻だった。


今日の昼間は卒業式があったが、式が終わって数時間が経った今 校内に残っている生徒は少ない。


生徒会長としての最後の仕事を片付けるため、カズマはこの時間まで残っていた。


ほんとうはもう少し早く終わるはずだったのに……くそ、これじゃあ 家の奴らに「仕事が遅いんですね」、とからかい半分で言われるな なんて頭の隅で考えながら。


最後に残ったいくつかの後始末を終えて、もういい加減 帰るか、と思ったときだった。


「カズマ先輩」と鈴のような声がした。


「リン」


リンは、カズマの生徒会の後輩で書記をしている。


そして、同時にカズマの婚約者でもある。


高校を卒業したら、結婚することが決まっている、そういう関係だ。



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(9/30)

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