thanks | ナノ


▼ 


「反対なのはこっちだ馬鹿!こんな意味わからんことに付き合えるか!せめてなんでこんなことになってるのか説明しろ、説明!」


さらに激しく揺さぶってやっていると、ふいに低い声が言った。


「それは俺も同感だな。一体何なんだ、ここは」


その声を聞いた瞬間 ピタリと時間が止まったようだった。


少し低い、でもよく通る 声。


耳を傾けずにはいられない、それは支配者の声だった。


「……あなたは……?」


とても整った顔をした人だった。


天を向く優美な鼻梁、黒い髪。切れ長の黒い瞳。


テレビに映るアイドルなんて目じゃない、本当の美形だった。


「……お前、俺を知らないのか?……ということはここは俺の国じゃないみたいだな」


「俺の、"国"?」


真人は目を丸くした。


日常に出てくる言葉とは思えない。俺の"国"なんて。


それとも、まさかこの人は、ほんとうにどこかの国の王だ、とでも言うのだろうか?



prev / next
(3/30)

[ bookmark/back/top ]




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -