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「お願い!お願い ネイザー!ちょっとでいいの!見るだけでも構わないから……」
顔の前で手を合わせ、そう懇願しているのは金糸の長い髪を肩先まで伸ばし、茶色い瞳をした少女だ。
年の頃は15歳くらいだろうか。
まだあどけなさを残した表情だが、その美しさは際立っていて どこか特別なオーラがある。
それもそのはずだ。
彼女の名は美蘭(メイラン)・ローランド。
ローランド王国の姫君だ。
そしてその姫君は今、年に一度だけある王族の護衛師団長の選抜を兼ねた武術大会の観戦をしたいと言っているらしい。
「だめですよ、ゴロツキの巣に飛び込むようなもんです。危険すぎます」
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