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その国の空気は少し乾いていて、砂が僅かに混じっていた。


唇を少し開けて風の味を確かめると、少しだけ甘く、舌の裏がピリリと痛む。


その甘みと、刺激はフラクトが採れる国の風に独特の特徴だ。


そして その味は甘ければ甘いほど、痺れるような刺激は強ければ強いほど、フラクトが多く埋蔵されていることを示している。


この国のそれは今まで訪れたどの国よりも強い甘みを帯びていた。


「……なるほどな。列強が欲しがるわけだ」


小さく呟くと、全身に黒の衣を纏った背の高い男は大通りを足早に横切って行った。






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