thanks | ナノ


▼ 

「きゃあああああああっ!!!」

「……リン、落ち着け」


恥ずかしくて恥ずかしくて――もう恥ずかしいどころじゃなくて、私はシーツをひったくって頭から被った。

「ごめんなさいごめんなさい!カズマ様ごめんなさい……!きら、嫌いにならないで……っ」


顔が熱くて――さっきまでとは違う意味で熱くて、羞恥の涙が浮かんでくる。


「リン、嫌いになんかならない。……落ち着け」

彼が優しく、だけど有無を言わせずシーツを剥がす。身体はシーツで隠すことを許してもらえた。

彼は、さっきまでの名残なのか、ためらいもなく私の名前を呼ぶ。

それがますます恥ずかしい。


「ううっ……で、でも……」

「この状況で何で嫌いになると思うんだ。落ち着け」


「だって、だって、私……あ、あんなに……み、みだ、乱れて……っ、」

「……」

彼は眉間に皺を寄せた。


やっぱり、呆れてる……?


「何があった」

「え?」

「いつもと違った理由を聞いてるんだ」

「えっ、あっ、あの、実は私……変な薬を飲んで、」

「誰にやられた」

「ち、違っ……!私がただ……っ、カズマ様に……もっと、好きになって、ほしくて、……でででも!ま、間違えました!こんな……っ、こんなになるなんて、私……っ」


既にズボンを身につけ直していた彼は、少しこちらに身を乗り出すと、軽く私の頭を撫でた。

「お前はほんとに……」

「ご、ごめんなさい……あんなに、なるなんて私……」


さっきまでの自分がやけに鮮明に脳裏に蘇る。


頬に触れられただけなのに、身体の芯が熱くなって――キスをしているだけで、全身が溶けてしまいそうで――

『ん、きもちい……』


「――――私、なんてことを……!」

普段なら口が裂けても言えないことで、だけどそれは確かにいつも感じていることで――私は、はしたない女の子だったのだろうか。


「そんなに泣きそうな顔をしなくていい。お前の様子がおかしいのはわかっていた。止めるべきなのかもしれないと思いながらも――やりすぎた、俺も悪かった」


「やりすぎた、って……あ、う……その、あの……っ」

彼の言葉に、またもや記憶がフラッシュバックしてしまう。

「だけど……そうさせたのは、私、です……」

prev / next
(14/22)

[ bookmark/back/top ]




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -