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「きゃあああああああっ!!!」
「……リン、落ち着け」
恥ずかしくて恥ずかしくて――もう恥ずかしいどころじゃなくて、私はシーツをひったくって頭から被った。
「ごめんなさいごめんなさい!カズマ様ごめんなさい……!きら、嫌いにならないで……っ」
顔が熱くて――さっきまでとは違う意味で熱くて、羞恥の涙が浮かんでくる。
「リン、嫌いになんかならない。……落ち着け」
彼が優しく、だけど有無を言わせずシーツを剥がす。身体はシーツで隠すことを許してもらえた。
彼は、さっきまでの名残なのか、ためらいもなく私の名前を呼ぶ。
それがますます恥ずかしい。
「ううっ……で、でも……」
「この状況で何で嫌いになると思うんだ。落ち着け」
「だって、だって、私……あ、あんなに……み、みだ、乱れて……っ、」
「……」
彼は眉間に皺を寄せた。
やっぱり、呆れてる……?
「何があった」
「え?」
「いつもと違った理由を聞いてるんだ」
「えっ、あっ、あの、実は私……変な薬を飲んで、」
「誰にやられた」
「ち、違っ……!私がただ……っ、カズマ様に……もっと、好きになって、ほしくて、……でででも!ま、間違えました!こんな……っ、こんなになるなんて、私……っ」
既にズボンを身につけ直していた彼は、少しこちらに身を乗り出すと、軽く私の頭を撫でた。
「お前はほんとに……」
「ご、ごめんなさい……あんなに、なるなんて私……」
さっきまでの自分がやけに鮮明に脳裏に蘇る。
頬に触れられただけなのに、身体の芯が熱くなって――キスをしているだけで、全身が溶けてしまいそうで――
『ん、きもちい……』
「――――私、なんてことを……!」
普段なら口が裂けても言えないことで、だけどそれは確かにいつも感じていることで――私は、はしたない女の子だったのだろうか。
「そんなに泣きそうな顔をしなくていい。お前の様子がおかしいのはわかっていた。止めるべきなのかもしれないと思いながらも――やりすぎた、俺も悪かった」
「やりすぎた、って……あ、う……その、あの……っ」
彼の言葉に、またもや記憶がフラッシュバックしてしまう。
「だけど……そうさせたのは、私、です……」
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