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仕事の合間に窓の外に目をやる。
相変わらず、両手でしっかりとくまを抱き締めながら、メイドや兵士に聞いて回っているようだ。

……お節介が。


時折、気持ち良さそうにくまに顔を埋める妻に、俺は眉をしかめた。
ここからではくまが何を言っているかわからないのがもどかしい。

きっと、いかがわしいことを言っているに違いない。

中身があんな親父だと知らなければ、こんなことは思わないのに。

今にも動き出して、妻に何かするんじゃないのか。
そんなあり得ない考えまで頭をよぎって──ため息をついた。

とにかく、早く仕事を終わらせてしまわなけらば。
俺はペースを上げて仕事に取りかかった。







戻ってきた妻は、少し落ち込んだ顔をしていた。


「持ち主は見つからなかったのか」
「はい……」


くまはさっきと変わらない様子で、妻の腕に抱かれている。

一体、誰のぬいぐるみなんだ。
厄介だ。


「一日城を回って疲れただろう、風呂でゆっくりしてきたらどうだ」
「……お気遣いありがとうございます。そうしますね」


妻はそっとくまをベッドに置くと、にこりと笑った。


「ここに置いておくので、カズマ様、くまちゃんいじめないであげてくださいね!」
「……努力はしよう」


妻の背中を見送り、しまる扉を確認した後、俺はくまの頭を鷲掴みにした。


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