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▼ 拉致続編(微裏)

▽△


 穴に落ちて、変わった世界に来てしまった。怖い男の人に話しかけられた瞬間に夜美さんが私を助けてくれた。本当にいい人だと思う。
 ……だけど、何でこうなったんだろう。


「で、殿下……!! 止めて下さい……」
「他のヤツ(夜美)にそんな恰好を見せておいて、何で夫である俺に見せられない。もう一つ、それは着せられたのか?」
「こ、こんな恥ずかしい服っ、着れるわけ無いじゃないですか……!!」
「だろうな。
 ……だから、気にくわない」
「え? ひゃあっ!?」


 たった一枚しか無いピッチリした不思議な服装の腰を撫でられたら、嫌でも驚いてしまう。
 誰も居ない、でも少し離れた所には夜美さんや、あのシンって人に竹松って人もいる。今の声は聞こえたのかな?


(……そういえば、あのカズマ様と居た子は一体……?)


「何だ、これは」
「ふわぁ!? やっ、カズマさまっ……!?」


 カズマ様の片手は、私の頭に伸びて、何かをふにふにと触り始めた。何故か頭の芯から足の先までぴりぴりと痺れてしまう感覚がして、無意識に殿下の服を掴んでしまう。


「や、ぁあ……!!」
「……面白い」
「カズマ様、何を……!?」
「お前の頭についている耳、震えたり、ピンと立ったり……お前を表しているみたいで面白い」
「み、み?」


 カズマ様の話が理解できない。そっと両手を頭にあてがうと、普段は無いようなふわふわした暖かい感触が伸びていて、ガサガサとダイレクトに音が聞こえる。


「……こ、れは?」
「おそらく、ウサギの耳だな。良くできている」
「え、あ、これ……!?」


 良くできている、なんて話じゃない。これは、生えてる!?
 自分の身体じゃない変化に頭が真っ白になりかけたけれど、カズマ様がそっと私の頬を撫で、じっと見つめる瞳に、心臓が高鳴った。


「俺以外を、考えるな。
 俺だけを感じろ」


 貴方に見つめられたら、嫌でも貴方以外見えなくなることを知っているはずなのに、貴方の言葉を耳にするだけで、貴方以外を考えられなくなることを知っているはずなのに……彼は、これ以上私を溺れさせるつもりなのでしょうか。

 そっと唇と唇が重なる。これ以上は私の口が裂けても言えない。


▽△


「大丈夫かなぁ。リンさん」
「好きな女のコがあんな恰好していたら……何もないことはないと思う。しかも、見た感じ両思いだし……」
「私も思わず羽尾い絞めして胸もんじゃったよ。大和撫子みたいな謙虚で可愛らしい胸だったなー」
「……胸」
「た、田村さん、あの、女のコは、胸ではないよ……」
「この屋敷内にいる女は胸部が未発達のやつしかいなかろう。お前ら〇〇はきてるのか?」
「きてるわクソ松!!」
「きてねーよ童松が」
「黙れバカ共」
「(田村さん、きてないんだー…て、これ男子と女子が話す会話じゃない!!)」
「ああ、あと……たまたま服の中にあった薬をあの女に盛った」
「な、なぁああああああっ!? テメーぷりちぃリンちゃんになんてことを!! ぶっ殺す!」
「あ、赤ん坊になった」
「説明しよう。夜美は私の策略により、殺すと言えば赤ん坊になってしまう体質となったのだ。はっ、ざ・ま・あ」
「(伊織って本当に姉ちゃんが好きなのか?)」
「たけまちゅううううう!!」
「……リンさん大丈夫かな」


▽△


 これは、なかなか面白い。


「あ、ぅ。カズマ様ぁ……」


 へなへなとリンの頭にある耳が、垂れる。リンの頬は桃色に染まり、生理的な涙からか潤んでいる。熟れた唇から漏れる吐息に声は、俺だけのもので、その証拠に俺の名前を先ほどから呼んでいる。可愛い。

 僅かな膨らみに手をあて、ゆっくりゆっくりと撫でてやると面白いくらいにビクビク体が震え、真っ赤な顔をしてイヤイヤと首を振るリン。
 いじめたくなる。

 そっと服を脱がせようとした時、頭上から何かが屋根を破壊して現れた。


「沙弥さぁあああああん!! 今日も貴方の素敵な足で踏んで、できれば舐めさせて……ああ、いなっ……!! なな、何て可愛い子なんですか!? お名前住所趣味性感帯好きなプレイを教えてくださいそしてキスしませんか!?」
「うひゃああああああああああああああ!! はぁはぁはぁ。イケメン王子×バニー幼女!? うひひここから嫌がるバニーちゃんを縄で縛って舐め回す変態王子もしくは王子だからこそエスコートするけど最終的に理性がきれるとかおいしすぎ」

「強制退場ォオオ!!」


 空気が読めない奴等が今回空気をある意味読んだ。
 ちなみにその後、カズマ様はぶちギレ、夜美が興奮し乱闘になり、風来や真也が止めにはいって何とか鎮圧した。ちなみにカズマ様は風来に怒られ、真っ赤な顔で半泣きなリンちゃんは沙弥によって保護されました。

 お粗末様です。



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