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「444円のお返しでーす」

店員が明るく読み上げた数字に、俺は思わず顔をひきつらせた。

『4･4･4』とは不吉な。

そういえば、今日一日は最悪だった。
俺を狙ったかのように、嫌なことが連続して起こった。

その集大成がこの数字か。

厄日なのか、今日は。

内心うんざりしながら店を出ると、隣を歩く彼女が言った。

「ね、レシート見せてよ！」

「おう…」

彼女も店員の言葉を聞いていたらしい。
俺がレシートを渡すと、彼女はにこにこしながらこちらを見た。

「すごいじゃん、よかったね！」

「え？何で？」

『すごいじゃん』はわかるが、『よかったね』の意味がわからず俺は眉をひそめる。

すると彼女は、当たり前のように答えた。

「だって『しあわせ』の『４』がみっつも並んでるよ。明日はいいことあるかもね」

不吉な『し』じゃなくて、しあわせの『し』。

俺の彼女は、特別美人でもないし、聖母のように心が広いわけでもないし、才女なわけでもない。普通の女だ。

だけど、たまにこんな何気ない言葉で、俺を軽々とすくいあげてくれるから、代わりはいないと実感するんだ。

「明日は777円のお釣りがもらえるのかもなあ」

俺が笑って言うと、彼女も笑った。

end

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