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『なあ、いいだろ』

だめ!絶対だめ!

『大丈夫だって、来いよ』

だめなの!

『素直になれよ。お前だってほんとは気持ちよくなりたいだろ?』

やめて!私は行かなくちゃいけないの!わかってるでしょ?

『ちゃんと間に合うように終わらせてやるって』

……その言葉にはもうだまされないんだから。

『今日は大丈夫だって。今まではちょっと油断しすぎてたんだよ』

…………だめよ。私は一時の快楽に溺れて何もかも失いたくはないのよ。

『そんなことにはならねえよ。それにお前、そう言いながら動こうとしないじゃねえか。俺のとこに来たいんだろ?いいじゃねえか、ちょっとぐらい』

だめ…!夜ならまだしも、朝だけは絶対にだめなの!帰ってよ!

『何言ってんだお前。昨日の夜は素直だったくせに。それに、朝どころかお前、昼間っから会社で俺と…』

やめてよ!我慢できないときだってあるの。
それに、昼間や夜のあんたと、朝のあんたは違うじゃない。朝のあんたにそそのかされたら、取り返しがつかなくなるって、私はちゃんと知ってるんだから。

『…都合がいい女だな。昔はしょっちゅう来てたくせに』

あの頃は、失うものはなかったのよ。今はあるわ。

『そんなくだらねえものと、俺がお前に与えてやる快楽と、どっちが本当に価値のあるものか…ほんとはわかってんだろ?』

……もうやめて!私だって、あんたといきたい。でも、絶対にだめなの!わかってよ!

『わかるわけねえだろ。いきたいならいこうぜ。ほら、気持ちいいって』

……だめ………気持ちよくなったらだめなの………お願い、やめて………

『言っとくけどな、お前最初っから、抵抗してんのは言葉だけだぞ。他は全部、俺といきたいって言ってる』

そんなこと、……いわないで

『ほら、俺に任せろ。ちゃんとお前の失うものとやらも、守ってやるから』

だめ……これ以上は……

『何も考えんな。お前はただ、俺に全部預けてりゃいいんだよ。最高に幸せにしてやるから』

……っ、もう、だめ………

「ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!!!!!!!!!」

『っ!なん……だと……!?』

……こ、こんなことも、あろうかと、目覚まし、を、もういっこ、10分後、にもセット…してたのよ……

『くっ…!お前、いつからそんな女になったんだよ!』

今までの私とは、違うの…!私ひとりじゃ、あんたには勝てない。だから頭を使ったのよ。

『く、そ……!お、俺はあきらめねえからな……!明日の朝も、あさっての朝も、ずっと来てやる……!絶対、お前を……』


…………か、勝った!

目覚ましがなかったら、危なかったわ。
またあいつが来る前に、さっさと起きて顔洗わなくちゃ!


明日も絶対、負けないんだから!




end





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