小話 | ナノ


▼ 

どうしてこんなことになったんだろう。

私は、倉庫の壁に身体をぴたりとつけた状態で、考えていた。



―――話は数時間前に遡る。


私とハルカは、約束通り、毎日祭をしているという惑星に降り立った。

今日は、火に感謝する祭らしく、私たちは赤いマントを渡された。祭にはこれを着て参加するらしい。


オリンピックの聖火台みたいなのが至る所にあって、火が勢いよく燃え盛っている。

参加している人たちは、みんな地球人と同じような姿をしている。


「ETみたいなのはいないの!?」

初めて人のたくさんいる惑星に降り立った私は、カルチャーショックを受けた。

「あんな動きにくい姿には進化しないだろう、なかなか」

ハルカは冷静に言う。

「じゃあ、ヨーダみたいなのもいないの…?」

「俺は見たことないね」

「そんなあ……!」


お決まりのようになったこのやりとりは最初だけで、すぐに私は火の祭に夢中になった。


大道芸人みたいな宇宙人が、火を自在に操ってマジックを見せていたり、おいしそうなお肉が豪快に焼かれていいにおいをさせていたり、綺麗なダンサーたちが火を持ってスリル満点のダンスを披露していたり。


「すごいすごいすごい!!!」

「地球でもこんなのあるんじゃないか?」

「そうかもしれないけど、やっぱりすごいよ!それに楽しいっ」

「それならよかった」

ハルカはそう言って笑う。

「ハルカは?楽しい?」

「うん、楽しいよ」

私も嬉しくなって微笑んだ。



prev / next
(1/6)

[ back/top ]




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -