小話 | ナノ


▼ ヘタレの孝太郎

私の恋人の孝太郎は、背もそれなりに高くて、太りすぎてもいなければ痩せすぎてもいないし、笑顔はわりとかわいくて、顔自体もそこそこ整っている。

だけど私は、あまりに他人にこのひとを紹介したくない。


もし他人とこのひとを会わせようものなら…

まず、「よろしく」と言って相手に手を差し出した瞬間、その手に持っていたジュースのペットボトルを落とす。

「うわあああごめんなさいごめんなさい!ジュースかかってませんか!?あっ、穴が…うわああ漏れてるどうしよううわあああ!」

大の男が地面にはいつくばって悲鳴をあげる。

そして代わりのジュースを買いに自販機へと向かうものの、すぐに半泣きでこちらへ走ってくる。

「うわあああああっ!たっ助けてえーーー!!!い、犬っ!犬があああっ!」

孝太郎の背後には大型犬。

そしてぽかんとしている私たちの側を駆け抜け、数分ほどして戻って来たとき、孝太郎はどろどろに服を汚している。

「う、うう〜…怖かった…!」

半泣きどころか、べそをかいている。



―――そういう類の展開に、必ずと言っていいほど、なるからだ。


つまり私の恋人は、ドジでヘタレなのである。


prev / next
(1/3)

[ back/top ]




×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -