▼
そんなわけで、私は彼の監禁されている倉庫まで来たのだった。
倉庫のそばにも聖火台みたいなのがあり、私は木の棒にその火をもらって来ていた。
これを、この花火セットに一気に点火すれば、すごい音がするだろう。打ち上げ花火も入ってるし。
倉庫のすぐ近くで点火して、二人組の注意を引く。その隙に、ハルカを助け出す。
まるでお姫様を救出する騎士だわ。
立場が逆じゃない。
助けたら文句言ってやらなくちゃ!
私は、意を決して、倉庫の入口まで走り、花火セットを投げる。
そしてその上に火を投げると、まずビニールの焼けるにおいがして、それから、花火に火が着いた。
予想以上にすごい音がする。
派手な花火ばかりのセットにしてよかった。
……なのに、二人組は出て来なかった。
ど、どうしよう。
私は絶望した。
もう武器はハサミしかない。
prev / next
(5/6)