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その時、左肩が、何かにぶつかった。
振り返ると、いかつい男二人組が、こちらを睨みつけていた。
「いってぇ!何してくれてんだコラ!」
一人が大袈裟に肩を押さえて怒鳴る。
私みたいなのにぶつかられてそんなに痛むわけがない。
だけどぶつかったことに変わりはないからとりあえず謝る。
「すみませんでした、大丈夫ですか」
「大丈夫なわけあるか馬鹿野郎!慰謝料と治療費払えよ!」
ああ、こんな奴らって地球以外にもいるんだわ、と私はため息をついた。
「あァ!?んだよその態度!」
さらに絡んでくる男たちを私が睨みつけ、怒鳴り返そうとすると、ハルカが間に入ってきた。
「まあまあ、落ち着いて。話し合いましょうよ」
男たちはその呑気な口調に苛立ったようだった。
「兄ちゃんは黙ってな!」
そう言ってハルカを突き飛ばす。
「わっ、危ないな」
突き飛ばされた瞬間、ハルカのマントのフードが外れた。
めずらしいという、キラキラの髪があらわになる。
それを見た二人組は、目を大きく開き、その後ニヤリと笑った。
「兄ちゃん、お前を売ったら慰謝料と治療費分は手に入るなあ!」
言うが早いか、二人組はハルカの動きを封じた。ハルカの鞄が地面に落ちる。
「あ、やべ」
ただのチンピラかと思ったのに『売る』だなんて、予想以上に悪い奴らだったみたい。
どうしよう、と私が固まっていると、二人組がこちらを見た。
「ついでにお前も売ってやる」
まずい。二人とも掴まったら、絶体絶命だ。今もすでに相当だけど。
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