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どうしてこんなことになったんだろう。
私は、倉庫の壁に身体をぴたりとつけた状態で、考えていた。
―――話は数時間前に遡る。
私とハルカは、約束通り、毎日祭をしているという惑星に降り立った。
今日は、火に感謝する祭らしく、私たちは赤いマントを渡された。祭にはこれを着て参加するらしい。
オリンピックの聖火台みたいなのが至る所にあって、火が勢いよく燃え盛っている。
参加している人たちは、みんな地球人と同じような姿をしている。
「ETみたいなのはいないの!?」
初めて人のたくさんいる惑星に降り立った私は、カルチャーショックを受けた。
「あんな動きにくい姿には進化しないだろう、なかなか」
ハルカは冷静に言う。
「じゃあ、ヨーダみたいなのもいないの…?」
「俺は見たことないね」
「そんなあ……!」
お決まりのようになったこのやりとりは最初だけで、すぐに私は火の祭に夢中になった。
大道芸人みたいな宇宙人が、火を自在に操ってマジックを見せていたり、おいしそうなお肉が豪快に焼かれていいにおいをさせていたり、綺麗なダンサーたちが火を持ってスリル満点のダンスを披露していたり。
「すごいすごいすごい!!!」
「地球でもこんなのあるんじゃないか?」
「そうかもしれないけど、やっぱりすごいよ!それに楽しいっ」
「それならよかった」
ハルカはそう言って笑う。
「ハルカは?楽しい?」
「うん、楽しいよ」
私も嬉しくなって微笑んだ。
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