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「………わかります」

小さく呟いた俺に、宮田さんが首を傾げる。ちゃんと聞こえなかったらしい。


「わかります宮田さんっ!!!愛情表現を無下にされるその痛みっ!!!そしてそれでも止まらない気持ちっ!!!そしていつしか恍惚へと変わってゆく、罵りの言葉ッッ!!!正真正銘の、これが恋、ですよねっっ!!!!!」

両手の拳を握りしめ、俺は宮田さんに詰め寄った。


なんということだろう。

こんな思いをしているのは、世の中に俺一人だと思っていたのに、こんなところに同志がいたなんて……!


すると、宮田さんは目をまるくして言った。

「柴田さんの恋人も、青山さんみたいに冷たいんですか……?」


「そうなんです!俺はただ『運命の人』である香奈さんの隣に引越してきて告白しただけなのに、ストーカーとか変態とか変質者とか犯罪者とか…!あんなに可愛い顔して身も凍るようなことを毎日、」

言いかけて、ふと一つの事実に気付く。


「………でも宮田さんの場合、青山さんはれっきとした恋人なんですよね?俺はただの『とりあえず彼氏』だから……なんだ、全然同じ境遇なんかじゃなかった………すみません、調子に乗りました………」

肩を落として呟くと、宮田さんがその肩にポン、と手を置いた。


「そんなことありません。さっきの柴田さんの叫び、俺、すっごく心が震えました。俺たちはきっと、同じ宿命の元に集う仲間です。――聞かせてください、柴田さんのお話。俺で力になれることがあれば、なりたいんです」


真剣なまなざしに、心を掴まれる。

「宮田さん……」

俺は、大きく頷いた。



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