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「はじめまして、宮田と申します。今日はよろしくお願いします」
やって来たのは、背が高くて笑顔が爽やかな青年。たぶん俺より若いんじゃないだろうか。
差し出された名刺には『フリーカメラマン 宮田和海』と書かれている。
カメラマンでイケメンで身長高いとか羨ましいなあ、とぼんやり思う。
俺もこんな感じだったら、いきなり「運命の人です」って押しかけても香奈さんにストーカー扱いされなかったのかなあ。
「柴田と申します。こちらこそよろしくお願いします」
そんな妄想は胸にしまい、俺は自分の名刺を手渡し、頭を下げた。
さっそく、当日のスケジュール表を手渡し、大まかに説明する。
注意事項や確認事項をひとつひとつつぶしていってもそんなに時間はかからず、10分程で俺の役目は終わってしまった。
「当日は俺もボランティアとして参加してますから、出会ったらよろしくお願いしますね」
「あ、そうなんですかー!はい、こちらこそ!いい写真撮れるように頑張りますねっ」
宮田さんは、人懐っこい笑顔でカメラを構えるポーズをとった。
なんとなく、『いい写真』が撮れるひとなんだろうな、と感じる。
子どもたちの笑顔なんかを上手に引き出してしまいそうな雰囲気がある。
話していると、こっちまでニコニコ顔になってしまいそうな。
「あ、まだ時間もあるし、少しだけここの写真撮らせてもらってもいいですか?」
宮田さんはそう言って立ち上がった。
「ええ、もちろん。じゃあ俺、案内しますよ」
彼に続いて俺も立ち上がる。
――と、俺は足元に落ちている一枚の写真に気付いた。
「これ、宮田さんのですか?」
屈んで拾い上げると、そこに写っていたのはものすごく綺麗な人。
「あっ!俺のあおやまさんっ!ありがとうございます!!!」
宮田くんは目をキラキラと輝かせて写真を受け取った。
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