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「その世界にある、大事なものを思い浮かべろ。できるだけ小さくて、あまり動かないものがいい。そこを『帰る目印』にすると、道が繋がる……とか言っていた。何かしらの方法でここへ来れたのなら、それで帰れるだろう」


垂氷は「あまり騒ぐなよ」と言い残し、さっさとその場を立ち去った。


「……大事な、小さいもの……?」

「木の実とかでいいんじゃないのか」

「馬鹿ね、そんなのどこにもあるじゃない。あそこにしかないものを思い浮かべなきゃ帰れないから、困ってるの」


フクロウは、考え込むように、目を閉じた。


――その瞬間。


カッ、と白い光が閃き、どこからともなく突風が吹いた。


「うわっ!」

日向はその勢いで尻餅をつく。


フクロウがなんとか片手で風を防いでいると、光の向こうから人影がぼんやりと現れた。


「あっ、いた!」

何もないところから顔と右半身だけをのぞかせ、笑顔でそう言ったのは、茶髪の少年だった。




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(8/12)

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