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「よりによってネコ野郎かよ……」

館長の家を後にして、二人は再び道の真ん中で立ち止まっていた。


「誰なの、その垂氷って」

見るからに嫌な顔をしている日向に、フクロウは尋ねる。


日向はさらに顔を歪めた。

「………くそいけすかねえ猫の精霊だ。無駄に長生きしてるせいでやたら偉そうなんだよ」

「どこの世界でも犬と猫は仲良くできないようね」

「犬扱いすんじゃねえ!俺は日向様だ!」


吠える日向を、フクロウは軽くあしらった。

「馬鹿なこと言ってないで、早くそのひとのところに案内しなさい」

「コラてめえ!なんつー口のきき方だ!お願いします案内してください、だろうが」

「馬鹿に頭を下げる趣味はないわよ」

「……まじで案内しねえぞ!?」


日向は両手の拳をわなわなと握る。



その時、背後から低い声が響いた。

「おい犬、近所迷惑だ。黙って喋れ」


日向が振り向くと、背の高い銀髪の青年――垂氷が、眉をひそめて立っていた。




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