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「役に立たない用心棒どもだ」

簡単に数人が倒れ、残りが三人になった瞬間、首領の足元が円を描いて光り始めた。

そして彼が指差した先、戦い続ける兵士たちに向かって大きな水の玉がみっつ、飛んできた。


「うわわ!?何だあれ!」
「魔法初めて見た!」
「ていうか逃げないと……っ」

兵士たちは慌てるが、敵を相手にしている以上、放り出すわけにはいかない。

しかし、水の玉はどう考えても、自分たちに大きなダメージを与えるものであろうことは、三人とも予想がついた。


「やばいやばい!」
「さっさとこいつら倒して逃げるしか!」
「あほ!いくらなんでもそんな簡単にできるか!わあああ!来るっ!」



――その時。


「気にせず続けてください」


首領と兵士たちの間にスッと進み出たのは、キリである。

彼が落ち着いた表情で素早く足元に魔法陣を描くと、ごう、と風が巻き起こった。


そして、見えない壁に阻まれたように、みっつの水の玉は飛び散り、ただの液体となって地面を濡らした。

風の壁を作り、魔術の攻撃を防御したのである。


「す……すっげーーー!」
「サッてやってバシッてなったぞ!」
「か、かっこいい!」


敵の存在も忘れて称賛の目を向けてくる兵士たちに、キリは呆れ顔で言った。

「いいからさっさと倒してくださいよ」


キリの強固な守りに、気を散らされることもなくなった兵士たちは、当然ながらあっさりと勝負を決めた。



「さすがに東の魔術師の弟子が相手では、そう簡単にはいかないか」

鼻を鳴らす首領に、キリは『それ以前の問題だ』と思ったが面倒なので口には出さなかった。

彼らの魔術など、相手がカズマたちのように魔術を持たない者であるからこそ有利に働くという程度だ。

兵士たちではないが、キリの手にかかればよそ見をしながらでも三人とも数秒でねじ伏せられるだろう。


しかし、人質を取られている以上、下手に動くのもまずい。キリの魔術で均衡を崩してしまってもいけないだろうと考え、フォレガータたちに任せていることにした。

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