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「鷹がバレンタインバレンタインうるさいからよ。あいつそのうち酷い目に遭わせて…」
フクロウの言葉に、日向はカッと目を見開いた。
「バレンタインだと!?」
「な、何よ」
その勢いに、フクロウは思わず一歩後ずさる。
しかし、日向は乱暴にフクロウの手をとると、いきなり駆け出した。
「ついてこい!」
「え、えっ?何なのよ!」
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日向はしばらく走った後、古い家の前で立ち止まった。
そしていきなり、ドアをガンガンと叩く。
「オイコラ館長!起きやがれ!」
近所から苦情が来そうなほどの大声で、日向は家主を呼びたてる。
しばらくして、ナイトキャップを被った老人が、目をこすりながら玄関に現れた。
「……犬っころ、日夏はお前をちゃんとしつけとらんようじゃの」
「一度入った家はその日から俺の家だ」
「あのな犬っころ……」
館長は呆れ顔で何かを言いかけたが、日向がそれを遮った。
「んなこたどうでもいいんだよ!あれ貸せ!『異世界と俺』!」
日向はえらそうに右手を差し出した。
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