present | ナノ


▼ 

その言葉に、日向はぴくりとする。

「『世界』?お前、じゃあ……異世界から来たのか?」

精霊界から召喚された日向は、『世界』がひとつではないと本能で知っている。


フクロウはちらりと日向の顔を見た後、顎に手を当てて考え込んだ。

「まあ、はっきりとはわからないけれど。……なぜかフクロウになれないから、空から確かめようがないし」


ふうん、と小さく声を漏らし、日向はまじまじとフクロウを眺めた。

「その妙な服とかな、着てる奴なんてこっちの世界にはいねえぞ。…しっかしどうやって迷い込んじまったんだよお前」


「わかんないわよ。ただ秋太に着いて歩いてたら急に、」

顔をしかめたフクロウの言葉を、日向が突如遮った。

「シュウタ!?誰だそれ!お前の好きな奴か!」

ぐいっと顔を近づけて、ニタッと笑う。妙に楽しそうだ。


「は!?違うわよ!秋太はただの化け狐の息子。なんでそうなるの」

フクロウは、思いきり顔を歪める。


しかし日向は得意げに声を張り上げた。

「俺はいつもナツに着いて歩いてるからだ!」

無意味にどや顔で腰に手をあてている。

「ナツ?」

「俺の好きな奴だ!」

「あ、そう」

「ナツはな、かわいくて元気で笑うとかわいくて騒々しいけどかわいくてな!」

「聞いてないわよ」

「優しいしかわいくてな!だからいっつも早瀬が…………あいつの話はいいんだよ!!!!」

「聞いてないから」

「くそ……早瀬、あいつナツを変な目で眺め回しやがってよ……変態が……」


一人でぶつぶつ呟き始めた日向を見て、フクロウはため息をついた。

「この馬鹿じゃ頼りにならないわね。……まあ今日一日ぐらいだったらこっちに避難しててもいいけど」

「避難?」


prev / next
(3/12)

[ bookmark/back/top ]




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -