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ある部屋の扉をノックもせずに蹴り開けると、そこには屋敷の主――カイン伯爵がいらっしゃいました。
「あ、カズマさん今日はよく来、」
「変態はどこだ」
「え?ツバキ?……ってリンさんまた小さく!?」
「またアレが間違って盛ったんだろう。出せ。斬る」
困惑するカイン伯爵と、鋭く部屋を見渡すカズマ殿下、そして「あの、おろして、それからふくを……」と涙声で訴えるリンさま。
その時。
「伯爵ー、お酒飲んで変になったらいけないんでジュース持ってき……」
ニコニコ顔で部屋に入って来たのは、話題の人・ツバキさん。
ツバキさんはリンさまのお姿に気付くと持っていたグラスをガチャンと落としてしまわれました。
「ぎゃあああああああロリイイイイイイイイ!!!!!また間違えたけど結果オーライ!!!!ぶかぶかの服とかまじ天使!!!あたしGJ!!!!そのまま連れてきたカズマ殿下もGJさすが変態仲間っす!!!!!」
「斬、」
「ツバキ!!!!」
殺意をあらわにしたカズマ殿下を見て、カイン伯爵が鬼の形相で叫びました。
しかしツバキさまには通じていないご様子。
「あの……きがえを……ふくを……」
「あああ恥ずかしがるロリしかも人妻萌えるっす!!!!!そして殿下の殺気がビシバシ伝わってきていっそ心地いい、」
「もういい殺す」
「ツバキィィィ!!!いい加減にしなさい!!!」
収拾がつかなくなってきたところで、カズマ殿下がリンさまを降ろしました。そして上着をリンさまの肩にかけると、
「今日こそ息の根を止める」
ツバキさんに向き直って剣を抜きました。
「つ、つばきさん、にげて!」
「うおおおロリがあたしの心配を!!!興奮して、」
「その口から切り裂く」
「あぶないっす!そんな物騒なもん振り回さないでほしいっす!」
「自業自得だ」
「違うっすよ!ロリのリン様が可愛すぎるせいっすよ!興奮するのは自然の摂理っす!でしょ!?」
「同意を求めるな。俺は貴様とは違う」
先程確かに殿下も『お前が可愛いのが悪い』とおっしゃっていたように思いますけれど――のぞき見がばれては大変ですからそれは言えませんでした。
とにかく、狭い室内でツバキさんとカズマ殿下の追いかけっこが始まってしまいました。
無言で剣を振り回すカズマ殿下、「ロリィ!」と叫びながら逃げ回るツバキさん。
一向に諦める気のないカズマ殿下から、遂にツバキさんが逃走を図りました。
開いた扉に向けて走ります。
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