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「今日はだな!私と先輩のめくるめく夜の生活について君たちに自慢しに来たのだ!もちろん昼間もやっているが!」
「ドヤ顔で言わんでいい」
思わず俺は突っ込む。(否定はしないが)
「まず先輩の素晴らしいところは尻だ!この美尻は他の人間の比ではないぞ!それからな、先輩は×××××が××××××で××××××をして×××××なんだ!うらやましいだろう!ちなみに××××は私が×××××で×××××ている!そして」
「本、当、に、斬るぞ」
カズマが、殺意を全身に漲らせながら剣を抜いた。
まずい。妻が斬られる。
しかし、カヤは「ははは!」と笑った。
「そんなこと言っておいて、本当は君もしたいくせに!強がるな!」
「……」
カズマの手がぴたりと止まった。
否定しないのか。
一応そこは否定してくれ。王子殿下として。
その反応に、妻はますますテンションを上げた。
「あれか!頭の中はあんな妄想やこんな妄想でいっぱいなのに姫君を泣かせたくなくて我慢してるのか!泣き顔は泣き顔でそそるというのに勿体ない!我慢はよくないぞ!そんなことだから毎晩やっていても姫君の胸が育たないのだ!」
そして、名案とばかりに手を打つ。
「わかった!三日に一回は私が混ざって新鮮な快楽を提供しよう!以前も言ったが私のテクはなかなかだぞ?二人揃って昇天させる自信はある!」
奥方は、ゆでだこのように顔を真っ赤にしている。
「ま、毎晩なんてしてません!!!」
「落ち着け、リン。問題はそこじゃない」
「それはよくない!私なんか四六時中でも先輩を抱きたいと思っているぞ!」
カヤはまたもドヤ顔で宣言する。
めまいがしてきた。
さっさと彼女を連れ出さないと本気で命が危ない気がする。
この場に夢中になっている彼女の矛先を変えるには――
「カヤ」
俺は、低い声で妻の名前を呼んだ。
「俺以外の人間に欲情するな」
精一杯、不機嫌を装って言ってやる。
もちろん、思ってもないこと、というわけではない。
すると、
「先輩!!!!」
ものすごい勢いで、カヤが俺に抱き着いてきた。
「先輩先輩先輩!!!!!大好きだ!!!!!今の言葉にとてつもなく欲情した!!!!!抱かせてくれ!!!!!!」
「苦しい……落ち着け」
「帰ろう!今すぐここを出て近くに宿をとろう!もう我慢できない!」
言うなり、妻は礼もとらずに俺を引っ張って客間を出た。
カズマが呆れたような目で俺たちを見送る。
一体俺たちは、何をしにここへ来たんだ。
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