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私たちの様子をじっと見ていたユキが、すたすたと歩いて私の背後でまるくなった。

背もたれができたようなかっこうになり、少しだけ私も楽になる。


「……」

なにげなく、投げ出された彼の手に触れると、触れた指を軽く掴まれた。

いつものような力はないけれど、こどもみたいなその反応がなんだかかわいくて、私は手をそのままにしておくことにした。


空いている方の手で、彼の髪を撫でる。

起こしてしまわないように注意しながら――その心配はいらないかもしれないけれど。


私のとは全然違う、真っ黒でかたい髪。

ゆっくりと撫でていると、私までまどろんでしまいそうになる。


だけど、起きていなくちゃ。

起きていたい。


彼の無防備な寝顔を、見ていたかった。

勝手にひざまくらをしたのは私だけど、なんとなくあまえてくれているみたいな彼がすごく愛しくて、それをずっと感じていたいと思った。


「カズマ様、私ここにいますから。ゆっくり休んでくださいね」

届かないとわかっていながら、言葉をかける。

少し、私の指を握る手の力が強くなったと思ったのは、気のせいだろうか。


彼にはいつもどきどきさせられてばかりだけれど、こんな風に穏やかに、二人で過ごせる時間も大切にしたい――そんな風に思えた。





「リンさま、先程陛下からの――あらっ?」

しばらくして、一枚の紙を手に中庭へやって来たマリカさんが、立ち止まって目をまるくした。


私は、微笑んで人差し指を口元にあてた。



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