草野球 | ナノ


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あのひとは、いつもユニホームを泥だらけにして笑っている。


まず、ボールが飛んでくると必ず勢いよくとびついていく。

そして、野球を知らない私にはよくわからないけれど、何だかすごい動きをして、バッターをアウトにしている。

だからしょっちゅうユニホームが泥だらけになるのだけど、あのひとはいつも楽しそうに笑っているのだ。



数カ月前、初めて彼を見たときもそうだった。

たまたま遠回りして帰った道の途中にこのグランドがあった。

そのとき、あのひとの泥だらけのユニホームがやけに目について、立ち止まったのだ。


彼は何度も何度も、まるでわざとユニホームを汚しているように、地面にダイビングしていた。

そしてその後、必ず満面の笑みを浮かべていた。



泥だらけのユニホームに無邪気な笑顔。

まるでこどもみたいなその姿に、気付けば私は見とれていた。

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