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だけど、男なら、…いやエースなら、自分の決めたことから逃げちゃいけないって、らしくもなくキザなことを考えちゃったんだ。
同窓会のハガキを見てたら。


遅すぎたけど、負けるってわかってるけど、やっと、マウンドに上がる権利を得られたんだ。


エースが敗戦処理なんて情けないけど、マウンドに立たなきゃ「負け投手」にすらなれない。


どんな負け試合でも、直球で、全力で投げないと、って。




……え?
敗戦処理投手は負け投手にはなれないって?

…そこにつっこむのか、相変わらずだなあ。



とにかくね、そういうとこも全部ひっくるめて好きだったんだ、って伝えたくて、今日ここに来たんだよ。



だからそんな顔すんなってば。

…いや、ごめん、ほんとに俺の自己満足でしかなくて、ただびっくりさせちゃっただけになったけど、それでも聞いてくれて嬉しかった。



…ありがとうって言うのはこっちだよ。

でもそう言ってもらえただけで、なんかびっくりするぐらいすっきりしたし、なんか安心した。


情けないことに、さっきまで手が震えてたんだ。

はあ…エースになったらいろいろ自信がつくのかと思ってたのに、エースになって今までよりますます、へたれになってる気がする。


こんなのがエースなんて、あのチーム、どうかしてるかもなあ。



はは、だろ?
いつか見に来てよ。あいつとさ。


どうかしてるチームだけど、俺は今までで一番楽しく野球してるから。

振って惜しいことしたって思うかもな、…ってお決まりの台詞も言った方が格好がつくかな?



あ、やっぱり?
だよなー。

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