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高3でお前があいつと付き合い始めたとき、正直ほんとに悔しかったよ。


地味で何の取り柄もなくてさ、書道部のくせにたいして字も上手くなくて……ってひとの旦那に失礼だけど。


はは、ごめん。
とにかく、あいつと付き合うくらいなら俺の方がましだろって思ってたんだよ。



でも、あいつはちゃんと自分から告白したし、それ以前に、お前があいつのことを前から好きだったことはなんとなくわかってたから、


…え?そりゃあわかるよ。
だって、好きだったんだから。


なんで今さらそこで照れるんだよ。

とにかく、始めから結果がわかってたからって、マウンドにすら上がらなかったのは俺自身だったんだから、あいつがどうだとかはほんとは全然関係なかったんだよな。




…俺が今あのチームのエースをやってるのは、言ってしまえばラッキーが重なってのことなんだ。

なってみて改めて、自分がエースの器じゃないと実感してるくらい。



だけど、「背番号1をもらう」っていう、夢のひとつが叶ったことは間違いなかった。


そんで皮肉みたいに、その年、お前があいつと結婚したんだ。

もうひとつの夢が叶う機会は、これでほんとに、永久に来なくなった。


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