草野球 | ナノ


▼ 

…そんな顔するなよ。
そんなに意外だった?



うん、そりゃあそうだよ。知ってる。
お前の結婚式に呼ばれたぐらいだし。


だから「遅すぎた」って。


うん、それも知ってる。
いつ言ったって、振られるだろうっていうのはわかってたよ。


「自己満足」だって最初に言っただろ?



小6で転校してきたときから、お前はなんでもできてみんなに人気でさ、あの頃から他の女子たちと全然違ったんだ。

たまたま家が近かったから、俺たち仲が良かったけどさ。



俺がずっとエースを目標にしてたことは知ってると思うけど、それが叶えばお前に釣り合う奴になれるんじゃないかって思ってたんだ。

だから、「エースになれたら告白する」って、いつからか決意してたんだよ。



でも今考えたら、逃げだったんじゃないかって思うんだ。


さっきも言ったけど、振られるって、ほんとはわかってた。

だから、なれそうもない「エースになる」なんて目標を、告白できない言い訳にしてたんだよ、たぶん。



お前を好きな気持ちも、エースになりたい気持ちも、本気だったんだ。
嘘じゃない。


だけど、その大事なふたつの気持ちを、それぞれの逃げ場にしてたから……それが間違ってたんだ。

どっちも後悔することになった。


prev / next
(2/4)

[ back to top ]




第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -