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たまに、彼に差し入れを持ってくる女の子たちもいる。

そんな時、私は少しだけ胸がちくりとする。

彼は、その子たちに笑顔でお礼を言っている。

すごくキラキラした笑顔だけど、泥だらけのユニホームで走り回った後に見せるあの笑顔とは全然違う。


それを確認して、いつも私は少しほっとする。



あのひとの目に映してほしいなんて言わない。

あのひとの全てを知りたいなんて言わない。


だけど、あの泥だらけの笑顔だけは、グランドの外の誰かに向けないでほしい。


あの笑顔になるのは、野球のことを考えているときだけであってほしい。



私は、その『特別』な笑顔を見ることができれば、それで幸せなのだ。



だから私は、今日もあのグランドへ向かう。

彼の『特別』な世界の近くに、少しでも居たいから。


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