草野球 | ナノ


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それからたびたび、私はこのグランドの前を通るようになった。


しょっちゅう見ていても、野球のルールはわからないままだ。

でも、何もわからなくても、彼の動きと笑顔を見ているのは、全然退屈しなかった。

むしろルールを知ったら、この気持ちがなくなってしまうんじゃないかと思うくらいだった。



ただ、一度だけ、彼のポジションについて調べたことがある。

『ショートストップ/遊撃手』

意味がわからないけど、なんだかかっこいい気がした。



すごくかっこいい名前のポジションなのに、人一倍泥だらけになるんだな、と思った。


それとも、泥だらけになることが、野球ではかっこいいことなのかもしれない。


だって、泥だらけになった後に、あのひとはあんなに満足そうに笑っているのだから。


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